水原 一平(みずはら いっぺい、1984年12月31日 – )は、日本人の通訳者である。ドジャース所属の大谷翔平の通訳として、大谷のメディア出演やチームメイトとの交流の際に、日英、英日の通訳を務めたことで知られる。以前は、ボストン・レッドソックスで岡島秀樹の通訳を、日本プロ野球の北海道日本ハムファイターズで英語圏の選手たちの通訳を務めた。

水原は、大谷との親密な関係で野球ファンの間で人気を博していた。ブルペンでのキャッチボールや試合前のウォーミングアップで一緒にキャッチボールをするなど、通訳以外の場面でも頻繁に大谷をサポートしていた。2021年のMLBホームランダービーでは、水原は大谷の捕手を務めた。

生い立ち
6歳まで北海道苫小牧市で過ごし、1991年に和食料理人の父・英政[注 1]がロサンゼルスで板前を始めたことを機にアメリカ合衆国へ移住[1]。

学生時代は高校までサッカー部とバスケットボール部に所属[1][5]。

2007年にカリフォルニア大学リバーサイド校を卒業[6]。

通訳者として
ロサンゼルス・ドジャースに所属していた野茂英雄の活躍によってMLBに興味を持ち、2012年2月には岡島秀樹の専属通訳としてニューヨーク・ヤンキースに採用された[5][7]。しかし、岡島が仮契約中に行われたフィジカルチェックを左肩に異常が見つかったとしてパスできず契約解除となったことに伴い、水原の契約も解除された[7]。

2012年からは帰国して北海道日本ハムファイターズの球団通訳となり、ブランドン・レアードやクリス・マーティンなど日本ハムに所属する外国人選手の通訳や生活のサポートを務めた[8]。選手たちに「連絡があったらすぐ駆けつける」と約束し、選手の家族にまで配慮を行った[5]。

日本人選手からも好かれており、「一平ちゃん」との愛称で呼ばれた。また陽岱鋼(当時日本ハム所属)とは特に仲が良く、たびたびキャッチボール相手を頼まれた[5]。

マスメディアによる外国人選手たちへの取材に協力的で、記者たちから好評であった[5]。

大谷翔平の専属通訳として
2017年オフに日本ハム所属だった大谷翔平がロサンゼルス・エンゼルスへ移籍したことに伴い、大谷の専属通訳としてエンゼルスに所属。通訳以外にも運転手やキャッチボールの相手など、公私にわたり大谷をサポートしている[9][10][11]。

「大谷のスケジュールはとても特殊であり、大谷のキャッチボール相手が周りにいないときもある。その際に私が進み出てキャッチボールをする」と話した[12]。

MLBへ所属した日本人選手の中にはクラブハウス(選手たちの控え室)で孤立してしまう者もいたことを耳にしており、大谷を孤立させないように注力した。エンゼルスの選手たちが、あるスマートフォンゲームで遊んでいることに着目し、大谷がそれをダウンロードして仲間に加わった。その3年後の2021年の取材時点でも、水原たちは同ゲームを楽しんでいた[12]。

2018年に一般女性と結婚した[注 2]。同年、大谷から結婚のお祝いとして全額負担の新婚旅行のチケットを贈られている[14]。

2018年には1月から11月14日時点まで大谷と毎日顔を合わせており、オールスターゲーム期の休暇にはユニバーサル・スタジオ・ハリウッドへ同行した[9]。

2018年から2019年春にかけて大谷が故障からのリハビリテーション、および復帰のための調整を行っていた期間には、大谷と冗談を言い合ったり、スマートフォンゲーム『クラッシュ・ロワイヤル』を一緒に遊ぶなどしてリラックスさせた。クラブハウス管理人のエンゼルは「水原が大谷をすごく助けてくれている。だから精神的にも良い状態だったと思う」と語った[10]。

2020年2月に大谷が米国での自動車運転免許を取得した後も、大谷が運転する際には助手席に同乗した[15]。

2021年に大谷がMLBオールスターゲームの前夜祭となるホームランダービーに出場した際には、捕手役を務めた[16]。独身の大谷が誰とともに登場するのか注目された同日のレッドカーペットショーは、ともに歩いた[17]。11月22日、エンゼルスから「MVI」(最優秀通訳)に選出された。

2021年オフのMLBの労使協定交渉に伴うロックアウト中、選手と球団職員の接触ができなくなることからエンゼルスを一時退職したが、3月10日の協定締結後に球団へ復職している。

大谷も参加した2023年の第5回ワールド・ベースボール・クラシックでは、広報を兼任する堀江慎吾とともに日本代表のチーム通訳[注 3]の役目も担った[19][20]。また、初の日系人の代表選手となったラーズ・ヌートバーの招聘の際には、栗山英樹監督[注 4]からの連絡役や通訳も担った[21]。同大会の優勝会見時に、ヌートバーは「監督、コーチ、素晴らしいチームメートと一緒にできて良かったですし、誘っていただいたイッペイにも感謝しています」と水原に対しても感謝の言葉を述べている。なお、この通訳自体も水原が担当し、自ら「イッペイに感謝」という言葉を発したことで周囲は笑いに包まれた[22]。

2023年12月、大谷のロサンゼルス・ドジャースへの移籍に伴い、ドジャースに移籍[23]。

2024年3月20日、開幕戦の直後にドジャースを解雇された[24]。複数のアメリカメディアでは違法賭博に関与したと報道され[24]、また、大谷の銀行から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が送金され、大谷の弁護士が水原を「ブックメーカーでの賭博目的で大谷の資金を大量に盗んだ」として告発したとの報道もある[25][26][27][28]。水原は19日のESPNのインタビューにて「違法の認識がなかった」「翔平は賭博には全く関与していない」、当初ギャンブルによる借金の肩代わりを大谷に求めた際「明らかに大谷は本件に満足しておらず、二度とこのようなことをしないように私を助けると言った」と話していた[29][30]。

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